安藤紗々(作詞) 
神田ジョン(作曲・編曲)
タノウエマモル(音楽ディレクター)

現在、放送中のTVアニメ『私を喰べたい、ひとでなし』。その音楽の魅力に迫るべく、本作の音楽関係者たちによるインタビュー連載企画「私が聴きたい、うらばなし」がスタート!第5回は、第4話ED主題歌「太陽、なってあげよっか?♡」の制作を担当したに安藤紗々、神田ジョン、タノウエマモルの3名に制作当時のエピソードについて語ってもらった。

 

――まず、皆さんがキャラクターソング制作に携わる際に意識していることをお教えください。

 

安藤 私はアニメソングの中で、キャラクターソングが一番大好きなんです! キャラクターソングがあればキャラクターの心情を深く知ることができる気がしていて。作詞として携わる際にはそのキャラクターになりきって、どんなことを考えて、どんなことを歌うのか、深く考えながら制作していきます。『わたたべ』も苗川(采)先生からいただいた資料をもとに美胡になりきって進めていきました。

 

神田 第一に、キャラクターソングって聴いて愛してくれる層が明確に存在すると思っているので、そのファンの方々に向けて作ること、裏切らないようにすることを一番に考えています。その上で、きっとこの子はこうだ、という想像を盛り込みつつ、みんなが抱いているキャラクター像から乖離しないようにすることを意識していますね。

 

タノウエ ディレクターとしては、そのキャラクターないし声優さんに歌っていただく楽曲の制作を、誰にお願いするのか。その内容をプロデューサーと詰めていくことが重要だと思っています。スタッフの相性やスケジュールなども考えながら制作を進めていきます。

 

――なるほど。その上で伺いたいのですが、第4話で放送された「太陽、なってあげよっか?♡」はファイルーズあいさん演じる美胡による電波ソングです。そもそも何故電波ソングにすることになったのでしょうか?

 

タノウエ 元々、音楽プロデューサーの渡部(直)さんとは「どこかで王道な電波ソングを作りたいね!」と話していたんですよ。そんななかでタイミングよく『わたたべ』がやってきて。詳しく伺ったところ、渡部さん宛に、美胡の電波ソングが欲しいとオーダーがあったようでして。しかも、今から進めれば楽曲をリリースするだけでなく、オンエアにも間に合うかもと。「それならば!」と楽曲の制作を進めることになりました。

 

安藤 苗川先生からいただいた資料にも、美胡がネットのアイドルになったら、というワードがありましたよね。それでなるほど! と合点がいきました。なので、この曲は、女子高生としての美胡ちゃんにフォーカスした内容になっています。

 

神田 でも、この楽曲の依頼は納期が2日しかない状態でやってきたんですよ。

 

――えっ、2日ですか!?

 

タノウエ 4話の放送に間に合わせなければもっと余裕があったのですが、せっかく作るならテレビで流れて欲しいなと。しかも4話が美胡の楽曲を披露するのに相応しい回だったこともあり、渡部(直)さんとも相談して、僕が一番信頼している神田さんに託そうと。神田さんは電波ソングを作った経験がないと仰っていましたけど、絶対に良いものに仕上げてくれると思ったんです。

 

神田 短い納期の案件はたまにあるのですが2日後に曲をくれはなかなか発生しないイベントなので燃え上がりました。タノウエ君が困ってる時に声を掛けてくれるのはいつも自分なのでやってやんよという気持ちで断らずに毎度受けてます。苗川先生の熱の入りようもありましたし安藤さんの協力もあったので火事場のクソ力で最高の曲が出来ました。

 

タノウエ そうしてショートサイズの音源ができて、安藤さんに歌詞をお願いすることになりました。

 

神田 安藤さんとは何度もご一緒させていただいているので安心感がありましたね。

 

安藤 スケジュールはかなりしっちゃかめっちゃかでしたけど(笑)。

 

――(笑)。流れを追って伺うとすると、最初はメロディから作業が始まったんですね。

 

神田 先程タノウエ君が言ってましたが僕は電波ソングを作った経験がほとんどなかったので2日間という制作時間の割り振りをどうするべきか最初に考えました。原作を読みこむのか、、作曲に多くの時間を使うのか、、などなど。幸い、苗川先生が作って下さった美胡の資料が素晴らしかったので原作を読みこむ時間よりも楽曲をより良くする為の時間に使う事にしました。電波ソングはさまざまな種類の音色を使う為、その音選びに大半の時間を使った気がします。メロディー自体は悩む事なく一瞬で出来ました。渡部さんが「古き良き時代の電波ソングの雰囲気を入れたい」と仰っていたので伝統芸能的なリズムやセクションなどはしっかり押さえつつ、それだけでは変わり映えしないなと感じたのでハイパーポップ的な要素も入れて古今東西ごちゃ混ぜな楽曲に仕上げてみました。

 

タノウエ いや、簡単に言っていますけど、2日でそれを作るのは天才ですからね!? まぁ、無茶なお願いをしたのは僕なんですけど……(笑)。

 

神田 楽曲全体的にキャッチーなメロディーはマストで、サブカルミュージックの基本を網羅する事も意識してます。そこに、 渡部さんから「サビ前には絶対美胡のセリフを⼊れてほしい」というオーダーがあったので、その要素も盛り込んでいます。結果、みんなで作った楽曲になったと思います。

 

――そこから作詞作業に入られたわけですが、安藤さんはどのような点を意識して制作されたのでしょうか。

 

安藤 苗川先生からいただいた歌詞の案をもとに制作を進めていったので、どこを意識したのかといえばその内容に順守することですかね。あと、セリフの部分だけはどうしても苗川先生に書いて欲しかったので、私は土台となるものを書いて、後はお任せするようにしていました。明るさであったり、美胡ちゃんらしさだったりという部分に関しては、神田さんのメロディでかなり担保されていましたからね。既に私へバトンが回ってきた段階で曲の中には美胡ちゃんの輪郭は見えていたので、そこからより中心を目指して歌詞を書いていくような感覚で制作していました。一番手応えがあるのは、サビの部分です。太陽のことをどう入れようかな……と考えていたところ、太陽のように休みなく輝いてみんなを照らしているイメージがフッと降りてきて、すぐに書くことができました。そうしてテレビサイズができてから、フルサイズを作り始めて……。

 

タノウエ 苗川先生からいただいたイラスト付きの資料も凄く可愛いかったですよね。

 

安藤 本当に!すごく癒やされました(笑)。

 

神田 苗川先生のおかげで我々も美胡の解像度が一気に上がりましたよね。

 

――こんなに詳細な資料があったとは…。それと、てっきりフルサイズを制作してからテレビサイズを作成するのかと思っていましたが、テレビサイズの方が先なんですね。

 

タノウエ リテイクが発生したときのタイムロスが大きいですからね。先にテレビサイズを作成する方が往々にして多いです。

 

安藤 個人的には、二番を作るときが一番楽しいんですよ。特に二番のAメロ。一番で作った歌詞によって、より濃くキャラクターを憑依させることができるので、言いたいフレーズをすぐに出せるんですよね。

 

神田 安藤さんの歌詞が素晴らしかったので殆ど直しもなく、あとの微調整は安藤さん、タノウエさん、渡部さん、僕でグループを作って、リアルタイムで意見交換しながら進めました。いま履歴を見返しても凄いスピード感で進めてますね。

 

――そうして出来上がった楽曲をファイルーズあいさんが歌われたわけですが……。

 

安藤 以前、ファイルーズさんとはラジオでお会いしたことがあったんですが、凄い熱量でオタクトークをされていたことが印象に残っていて。作品やキャラクターを全力で愛してくれる方だと分かっていたので、全幅の信頼を置くことができました。

 

タノウエ 本当にこちらが何もオーダーしなくとも良いくらい、美胡の全てを理解されていました。

 

神田 ファイルーズあいさんは別案件でもご一緒した事があってその時も感じたのですが本当に憑依型の声優さんと言いますか、彼女がキャラクターになって歌うとレコーディングの時にモニター越しにキャラクターがホログラムのように浮かんで見えてくるんですよね。半端ない表現力だと思います。あとは美胡の事が好きな方々はめちゃくちゃラッキーですよ。特殊エンディングとして流れるのも凄いしミュージックビデオまで制作されてます。とんでもなくラッキーな方々です。

 

安藤 この楽曲を通して、比名子ちゃんのように美胡ちゃんに救われる人が増えるといいですよね。終始とても楽しい楽曲になっていますし、苗川(采)先生と一緒に綴った歌詞やセリフ部分にもぜひご注目いただきながら聴いてほしいです!

 

タノウエ キャラクターソングは作品ありきの存在ではありますが、今回の楽曲は単独でも聴いて楽しんでいただける楽曲になっていると思います。もちろん『わたたべ』が大好きな方にも愛していただきたいですが、むしろこの楽曲を機に『わたたべ』に触れる方も増えてほしい! そう胸を張って言える楽曲になりました。ぜひたくさん聴いてほしいです!

 

「太陽、なってあげよっか?♡」 – 社 美胡(CV:ファイルーズあい)[Music Video]

 

取材・執筆:太田祥暉

 


 

作品情報

 

電撃マオウにて大好評連載中!

少女と妖怪の出会いを美しくも切なく描いた原作・苗川 采による「私を喰べたい、ひとでなし」が2025年10月2日よりTVアニメ好評放送中!!

 

—ON AIR—

2025年10月2日より好評放送中!

AT-X:毎週木曜22:30〜

 リピート放送:毎週月曜10:30〜/毎週水曜16:30〜

TOKYO MX:毎週木曜23:30〜

サンテレビ:毎週木曜24:00〜

B S 日テレ:毎週木曜25:00〜

愛媛朝日テレビ:毎週金曜25:50〜

 

—STREAMING—

ABEMA・dアニメストアにて毎週木曜23:30〜地上波同時・最速配信中!

Prime Videoほか その他サイトにて毎週火曜23:30〜配信中!

※詳細は各サイトをご確認ください

※放送・配信日時は予告なく変更となる場合がございます

 

—INTRODUCTION—

「私は君を喰べに来ました。」

突如現れた人魚の少女・汐莉は海辺の街に独り暮らす比名子の手を取り、優しく語りかける。

比名子の持つ血肉は、特別に美味しいという。

それは数多の妖怪を惹きつけるほどに…。

汐莉は、成熟し、最高の状態を迎えるまで比名子を守り”いずれ自分が喰べる”と約束する。

比名子の胸には「このひとなら私の願いを叶えられるかもしれない」という

切なる想いが浮かび—。

 

—CAST—

八百歳比名子:上田麗奈

近江汐莉:石川由依

社 美胡:ファイルーズあい

 

—STAFF—

原作:「私を喰べたい、ひとでなし」苗川 采(KADOKAWA「電撃マオウ」連載)

総監督:葛谷直行

監督:鈴木裕輔

シリーズ構成/脚本:広田光毅

キャラクターデザイン:郁山 想

色彩設計:水野多恵子

美術監督:工藤義隆

撮影監督:武原健二

3DCG:志田じしろ

編集:瀧川三智

音響監督:納谷僚介

音響効果:斎藤みち代

音楽:井内啓二

アニメーションプロデューサー:高木秀仁

プロデュース:インフィニット

アニメーション制作:スタジオリングス

 

—MUSIC— <Streaming & Download>

オープニング主題歌:吉乃「贄-nie-」

作詞・作曲:ユリイ・カノン 

編曲:ユリイ・カノン / Naoki Itai(MUSIC FOR MUSIC)

Streaming & Download :https://lnk.to/yoshino_nie

Music Video:https://youtu.be/Yk6szHbYQl4?si=wjged4zQOR4QQveu

 

エンディング主題歌:八百歳比名子(CV:上田麗奈)「リリィ」

作詞・作曲:北澤ゆうほ 

編曲:佐藤厚仁

Streaming & Download :https://lnk.to/watatabe_hinako

Music Video:https://youtu.be/NUH5CN0G0Lg?si=wmOJ66uaSYRCmd0-

 

第4話エンディング主題歌:社 美胡(CV:ファイルーズあい)「太陽、なってあげよっか?♡」

作詞:安藤紗々 / 苗川 采 

作曲・編曲:神田ジョン

Streaming & Download :https://lnk.to/watatabe_miko

Music Video:https://youtu.be/fqtcbzj8bbc 

 

<CD>

2025年12月24日(水)発売

TVアニメ「私を喰べたい、ひとでなし」オリジナル・サウンドトラック

3,850円(税込) / PCCG-02473

ご予約/ご購入はコチラ:https://lnk.to/pccg-02473

 

—COMIC—

「電撃マオウ」にて大好評連載中!

「私を喰べたい、ひとでなし」コミックス第1〜10巻大好評発売中!

カドコミWEB(旧コミックウォーカー)掲載中!

https://comic-walker.com/detail/KC_003258_S?episodeType=first

 

—HP/X—

アニメ公式HP:https://wata-tabe.com

アニメ公式X:https://x.com/wttb_tv/ @wttb_tv

アニメ公式TikTok:https://www.tiktok.com/@wttb_tv

 

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