Hakubiが主催するライブイベント『京都藝劇 2025』が、8月11日に京都・KBSホールで開催された。

 

2019年に始まり通算6回目となる2025年は、初のオープニングアクトの公募や、左近ステージがフロアライブ形式に変更されるなど意欲的にアップデートされ、右近ステージにHakubi feat. GUEST TAKUMA(10-FEET)、クレナズム、The Novembers、ストレイテナー、TETORA、夢幻泡影(オープニングアクト)、左近ステージにULTRA、No Fun、hananashi、雪国が出演。イベント前日には片桐(Vo.Gt)がXで、「今年の藝劇はこの一年を支えてくれた戦友や背中を押してくれた音楽で溢れています」とポスト。Hakubiの情熱と美学が込められた『京都藝劇』がいよいよ幕を開けた。

 

■→右近ステージ
●→左近ステージ

 

●夢幻泡影(オープニングアクト)
ますはオープニングアクトに抜擢された京都発のオルタナティブロックバンド、夢幻泡影が右近ステージに登場し、静寂に向かって一音一音ギターを放っていく。ゆっくりと合流していく重たいリズムと閃光とともに、結成からわずか1年でつかんだ千載一遇の15分間に、渾身の2曲「無重力」「繰り返す」を突き立てる。2024年の『京都藝劇』にも足を運び、「私もこの舞台に立てたらいいなとずっと夢見てきた」と語った燐(Gt.Vo)。まばゆき新星がかなえた夢の続きが楽しみでならない。

 

■hananashi
1曲目の「セイタカアワダチソウ」から、その音像が振動となって全身を駆け上がる、フロアライブの醍醐味を感じさせてくれた左近ステージのhananashiは、2年連続通算3度目の出演と、TETORA同様『京都藝劇』の歩みを間近で見届け切磋琢磨してきたバンドだ。「少し先から」「ナイトクルージング」と緩急自在のバンドサウンドを聴かせた後は、ワイルドなロックンロールナンバー「Avalon」をぶちかます!「『京都藝劇』はずっと変化し続けてるんですよ。でもそれはもっと前に行くために、進化するために変わってる。俺らは3回目の『京都藝劇』で、3回目のトッパーです。『京都藝劇』が進化するためには、俺らの進化も必要だと思ってます」(木村健人・Vo.Gt)後半戦は、hananashiの持つ確かなポップネスが機能した「ato」、どっしりしたビートで立て続けた「海中から何を見ている」「染める」でシメ。『京都藝劇』のトッパーと言えばhananashi。そのアプローチは『京都藝劇』と同じく進化し続けている。

 

●クレナズム
昨年の『京都藝劇』が京都初ライブという縁をつないで、2年連続の出演となったクレナズム。SEのさざ波を切り裂く爆音でいきなり見る者を圧倒した名曲「花弁」が、右近ステージをつかの間の非日常へと引きずり込んでいく。その後も「酔生夢死」「鯨の鳴き声」と透明感と共存するシューゲイズサウンドを放出する。「福岡のクレナズムです、よろしくお願いします。Hakubiは私たちにとって仲のいいバンドであり、ライバルでもあり、同じ時代を生きる同志だと思っています。そんな大切な存在であるHakubiが主催する『京都藝劇』に出ることができて、本当にうれしく思っています」萌映(Vo.Gt)がバンドを代表して言葉を重ね、清涼感溢れる「杪夏」「ひとり残らず睨みつけて」で真夏の京都のうだるような暑さを吹き飛ばし、フラッシュライトにまみれて叫んだ「白い記憶」でフィナーレへ。Hakubiと志を同じくするのは楽曲を聴けば明白。盟友の年に一度の宴に、音楽で花を添えたクレナズムだった。

 

■ULTRA
ここからは今年初出演のラインナップが続々。左近ステージのULTRAは、acd.、ex.ecosystemの壺坂恵(Gt.Vo)、MASS OF THE FERMENTING DREGSの宮本菜津子(Gt.Vo)のツインボーカルに、WOMANの栁本修平(Ba.Cho)、TheSpringSummer、Liaroid Cinemaの杉本昂(Dr.Cho)のリズム隊を擁するロックバンド。その歴戦の顔ぶれを見れば実力は言わずもがな、初っぱなの「愛など」「flashback」から瞬く間にトップスピードへと加速する疾走感とヒリヒリするような緊張感に、心地良くぶちのめされる。超重量級のグルーヴに脳天を揺さぶられる「Knight」、壮絶なドラミングが扇動する「退屈のせい」には問答無用で体が動き出し、「やり始めたら足つりそうになるし(笑)、ライブって生き物だなと思って楽しんでおります。Hakubiが大事にしてるイベントに呼んでくれてありがとう!」と壺坂が人懐っこくあいさつしたかと思えば、再び狂乱の「door」「INU」の渦へダイブ……!圧巻にして無双のULTRA、『京都藝劇』にて極まれり。

 

●ストレイテナー
深紅の光とクラップで右近ステージに迎えられ、「『京都藝劇』お邪魔してます。俺たちストレイテナーって言います、どうぞよろしく」とホリエアツシ(Vo.Gt.Pf)が一言。その落ち着いたトーンとは裏腹に、「The World Record」からアガらざるを得ないエモーションでKBSホールを揺らしたストレイテナーは、結成27年にして今なおバンドの理想形の一つとしての輝きを保ちながら、「COME and GO」「シーグラス」と軽やかに駆け抜けていく。「Hakubi、呼んでくれてありがとうございます。4月から3回目の京都という……こんなに京都に来れる年があっていいのかと。京都を愛し、京都に愛されるバンドになれたらと思ってるので(笑)。Hakubiの世界観に近いと思う曲を持ってきたので聴いてください」そんなホリエの意思を反映した「イノセント」の美しき旋律に包まれる、とてつもない至福……この一曲がHakubiにとってどれだけ大切な記憶になったかは想像にたやすい。ホリエがピアノを奏で歌い始めた不屈の「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」、アンセミックな「Skeletonize!」で見渡す限りの拳が上がったラストシーン。いつも通り4人で肩を組み、充実した表情でその場を去ったストレイテナーの背中を、いつまでも追いかけてしまうのは必然だと思わせる、さすがの全6曲だった。

 

■雪国
左近ステージから聴こえる、「二つの朝」の何層にも重なり合うメランコリーなギターには否が応にも耳が引き付けられる。この夏の『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』でも話題を集めた雪国は、京英一(Gt.Vo)、大澤優貴(Ba.Cho)、木幡徹己(Dr)を中心に東京を拠点に活動するバンドプロジェクト。まだ結成2年ながら、続く「素直な君は」でもミニマムな音数で解像度の高い景色を脳裏に浮かび上がらせ、シームレスに「東京」へと没入させていく。ノスタルジーと轟音が降り注ぐような「Blue Train」「架空の君へ」を聴き終えた頃には、もう雪国のとりこに。終始ゆったりとしたBPMで描かれる心象風景は、聴けば聴くほどクセになる不思議な引力に満ちていた。

 

●The Novembers
右近ステージのThe Novembersのライブは「Morning Sun」からスタート。どこまでも伸びていく小林祐介(Vo.Gt)のシャウトと天にも昇るようなサウンドスケープで瞬時にトリップさせ、メロウでニューウェイブな「Seaside」、サイバーでデイドリーミングな「Rainbow」と畳み掛け、気付けばそこはめくるめくThe Novembersの世界。耳をつんざくノイズをぶち抜くヘヴィネスが、まるで獣のようにうなりを上げる。ここまで我を忘れられる時間が日常にいったいどれだけあることだろう? 小林がハンドマイクであおり倒した「New York」に理性をぶっ壊され、「BOY」ではインダストリアルな高揚感で何度でもエクスタシーに到達させられる、これぞ完全無敵のThe Novembers!「自分の作品とかライブには、もっとこうしておけば良かったとか、あのとき頑張れなかったなとか、あの人の期待に応えられなかったとかいう気持ちが全部宿っていて、振り返れば懐かしくもなればやるせなくもなるんです。でも、片桐さんが僕らの過去と出会って、人生がいい方向に導かれたと言ってくれることで、あのときの自分にも優しくなれる。反省とか後悔はあるけど、これで良かったと思わせてくれるのがHakubiなんです。こういった晴れやかな日に僕たちを選んでくれたことに胸がいっぱいになるというか、宝物をもらった気持ちです。最後に今日関わった全員にこの曲をささげたいと思います」片桐が多大なる影響を受けた「今日も生きたね」を前に、誰もが立ち尽くす。The Novembersという体験は、『京都藝劇』へ訪れた人々に計り知れない刺激と感動をもたらした。

 

■No Fun
前身バンドであるピアノガールが活動休止するタイミングで内田秋(Vo.Gt)を中心に結成され、次々とメンバーが加入し現在はギター、ベース、ドラム、ツインパーカッション、バイオリン、フルート、トランペット、サックス、トロンボーン、ピアノからなる11人編成に。『京都藝劇』にはそのうち9人での参加となったが、左近ステージがフロアライブになったのは、もしやNo Funが舞台に乗り切らないから?(笑)そう思わせるほどカオスな大所帯で、「厳冬期」からすさまじい熱量がほとばしるパフォーマンス!これまでの『京都藝劇』にはないトライバルな空気感を一瞬にして作り出し、「アガっていきましょう!いい感じ!このまま音を集めて遊びませんか!?」と声もからがら内田が絶叫し、「集音遊民」でもごった煮のミクスチャーサウンドでオーディエンスを巻き込んでいく。魂に直接訴えかけるような「炎天下」の祝祭のリズムしかり、心が奮い立つ「Against New Era」のメッセージしかり、異色にして唯一無二のオーケストラパンク。No Funを選んだHakubiの審美眼に、ジャンルを超えた絆を感じた。

 

●TETORA
今年で5年連続、会場がKBSホールに移ってから皆勤賞のTETORAは、まさにHakubiの戦友だ。つい先日行われたTETORA主催フェス『KAKUSHIN CLUB』にはHakubiも出演。それから9日後には『京都藝劇』と、互いに呼び合うのも2組の関係性ならでは。「Hakubiと同じ年、私らが大阪TETORAです。よろしくお願いします」という上野羽有音(Vo.Gt)の第一声から、今年はいつもと異なるムード。胸にじんわり染みていく「ずるい人」「今日くらいは」という飾らないミドルチューン2連発でハートをわしづかみ、TETORAの持ち味を動ではなく静できっちり表現していく。「もやっとした天気もHakubiらしい気がします。Hakubiが大事にしてるそんな日に、TETORAも混ぜてもらいました。Hakubiの友達じゃなくてライバル、TETORAの信念の歌を」(上野、以下同)代表曲の「レイリー」や「覚悟のありか」でも切々と思いを届ける3人。が、やっぱりこのままじゃ終われない!?「フロアのみんながドン引きするぐらい本気でやって帰ります!(笑)」と高らかに宣言し、「7月」「言葉のレントゲン」と待ってましたのぶち上げゾーンへ!ラストはずしりと重い「Loser for the future」「産毛」で、今年もHakubiにしかとバトンを手渡したTETORAだった。

 

●Hakubi feat. GUEST TAKUMA(10-FEET)
右近ステージがこの日一番の大歓声に沸いた大トリのHakubiは、「最後まで残ってくれて本当にありがとうございます!大切な今日一日を締めくくる京都Hakubi、よろしくお願いします」と片桐が告げ、バンドで初めて作った初期曲を大胆にリアレンジした「もう一つの世界(Alt. ver.)」を冒頭からソリッドに響かせる。「夢の続き」の今にも壊れそうなはかなさもHakubiの魅力だが、この一年で積み上げた経験値がにじみ出たライブバンドとしての頼もしさは、Hakubiが新たなフェーズにいることを提示。「クロール」や「午前4時、SNS」でもサポートの坂本夏樹(Gt)と細川千弘(Dr)もろとも、昨年とは別モノのバンドと言ってもいいくらい力強い演奏で魅せていく。

「この激動の一年を支えてくれた大好きなバンド、新しい世界を見せてくれた尊敬するバンドを、京都に招いて迎撃する。この一日は自分たちの宝物なんですけど、皆さんにとってもそうなったらいいなと思ってます。この先ずっと一緒にいてほしい人たち、目の前にいてほしい人たち、背中を追わせてほしい人たち……信じてくれたからにはやるしかない!」メンバーの脱退を経て、意識改革せざるを得なかった紆余曲折の一年を振り返り、その覚悟を「賽は投げられた」に刻み付ける片桐。そして、「いつか超えなきゃいけないよな!今度は私たちの番って言いたいから。呼んでもいいですか!?」(片桐、以下同)と、ついにフィーチャリングゲストの10-FEETのTAKUMA(Vo.Gt)を呼び込む。かつて『京都大作戦』で見たHakubiの精神的ルーツであり思い出の一曲である、10-FEETの「蜃気楼」。3年前に10-FEETのコラボレーションアルバム『10-feat』で「蜃気楼 feat. Hakubi」として結実したコラボが、今度は『京都藝劇』で、「蜃気楼 feat.guest TAKUMA(10-FEET)」として実現!TAKUMAと掛け合い、代わる代わるメインボーカルを取る片桐。バンドを結成した頃には想像もできなかった夢がまた一つかなった瞬間だった。

「大きな背中、ありがとうございました。TAKUMAさんに拍手を!」と送り出した後は、偉大なる先輩のエナジーが注入されたかのように「mirror」を熱唱!約7時間にも及ぶイベントのクライマックスは、『京都藝劇』のテーマ曲のごとく歌い継いできた「光芒」。クローザーにふさわしい熱演には、アンコールの声が止まらない。巨大なバックドロップが下りると同時に現れた鮮やかなステンドグラスを背に、大合唱が巻き起こった「君が言うようにこの世界は」が、ひときわドラマチックに鳴り響く。最後に、「わだちがあったら歩きやすいけど、そういう誰かが通った道じゃなくて、私たちは私たちだけの道を行きたい。生き延びて生き延びて生き延びて、またここで会いましょう」と片桐が再会を約束。Hakubiの信念が見事に形となった『京都藝劇 2025』だった。

なお、今後のHakubiは各地のイベントに出演後、秋には東名阪クアトロワンマンツアー『Hakubi live tour “2017-2025 NOISE FROM HERE”』を、11月19日大阪・梅田CLUB QUATTRO、11月21日愛知・名古屋CLUB QUATTRO、12月4日東京・渋谷CLUB QUATTROで開催する。

 

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=陳泓旭/翼、

 
「何者」2025年9月10日(水) リリース
配信 (Pre-add/Pre-save): https://lnk.to/Hakubi_WhoeverYouAre

 

Hakubi live tour “2017-2025”
2025年11月19日(水) 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO
2025年11月21日(金) 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO
2025年12月4日(木) 東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00

チケット一般発売中: 前売 4,500円 (税込)
https://w.pia.jp/t/hakubi-2017-2025/

 

アーティストインフォメーション
公式HP:https://www.hakubikyoto.com
公式X:https://x.com/hakubi_official
公式Instagram:https://www.instagram.com/hakubi_official
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@hakubi_official
公式YouTube:https://m.youtube.com/@hakubi_official
 

プロフィール
Vo/Gt 片桐、Ba ヤスカワアルからなる、京都発ロックバンド。
2017年11月にYouTubeにて公開された「夢の続き」のミュージックビデオが、一年足らずで100万回再生を突破し話題となる。
2021年9月、メジャーデビュー。デビューアルバム「era」はCDショップ大賞2022に入賞。日本テレビ「バズリズム02」『これがバズるぞ 2022』でも5位にランクイン。
ライブにおいても全国各地の大型フェスに次々と出演し、2023年11月にはZepp Haneda公演となんばHatch公演を成功させる。
2024年9月、メンバー脱退を経て現在の2人編成となり、2025年5月には新体制となって初のEP「27」をリリースする。
飾らない言葉で綴られた内省的な歌詞と、弱さを押し隠す力強い歌声。繊細さと激情を併せ持つ楽曲とライブパフォーマンスが多くの支持を集めている。